鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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稔期④ 日本の庭園芸術と伝統的建築の研究(Study on the japanese Gardens and the traditional Architectures) 1)平成7年3月10日広島芸術学会主催場所広島「弘法」招致研究者:ゲルト=ヘルゲ・フォーゲル(Dr.Gerd-Helge Vogel) 報告者:山形大学教育学部教授斎藤間:平成7年3月5日〜4月9日平成7年3月5日から5週間にわたって日本に滞在したドイツ,グライフスヴァルト大学カスパー・ダヴィト・フリードリヒ芸術学研究所講師ゲルト=ヘルゲ・フォーゲル博士は,「日本の庭園芸術と伝統的建築の研究」の研究課題を中心にしてその間きわめて意欲的に調査研究を行い,所期の成果を得ることができました。すでに先月末までに同氏から鹿島美術財団への礼状,研究報告書,会計報告が届きましたので,それをもとにして以下のようにご報告申し上げます。申請者はあらかじめ,広島を中心とした中国地方,京都や奈良を中心とした近畿地方,東京はじめ東日本における旅行プランを用意しましたが,フォーゲル博士は多くの活動を大体計画に基づいて進め,その滞在期間を通じて予定以上のプログラムを消化することになりました。しかも日本の各地の訪問先や研究機関などで多くの研究者たちと知り合い,彼らの助言と協力によって効果的な調査研究を進めることができました。その出会いと学的な意見交換は大変重要な機縁となり,これからの研究交流を一層緊密にするでしょう。何よりもこの度の招致を快諾下さいました鹿島美術財団とその関係者に心から謝意を表しております。1.まずプログラムの一つ,講演会について講演題目「ドイツ初期ロマン主義絵画におけるリューゲン島とフィルム島」講演内容の要約オストゼー(バルト海)に,寄り添うように浮かぶリューゲン島とフィルム島の野性的で変化に富んだ風景,それは奇怪な白亜の岩,深い山峡,太古の大木,しかも牧歌的田園的情景を備えてカスパー・ダヴィト・フリードリヒやカルル・グスタフ・カグライフスヴァルト大学カスパー・ダヴィト・フリードリヒ芸術学研究所講師-529-

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