鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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② 1878年より1893年のパリにおける日本人画家に関する資料調査一岡倉天心,山本芳翠,黒田清輝を中心として一報告者:東京大学大学院博士課程高階絵里加海外における研究状況活動① 『蜻蛉集』以外の作品及び挿絵について限定版や初版本を含む同時代の挿絵入書物に関し調査を行ったところ,未紹介の作品(水彩画および版画数点)を発見。これらについては,調査の上発表の予定。② 1885年に行われた芳翠の個展の実態および反響について同時代の新聞・雑誌約80種類に関し調査を行ったところ,個展は実際に行われたことが判明,また個展への反響の記事数種も発見。内容は以下の通り(いずれも未紹介)開催期間:1885年5月9日より6月9日まで(朝9時より夕方6時まで)開催場所:SalleChoudons, 2, rue Caumartin(オペラ座近く)個展評:~(5 /12), ~ (5 /16), La Vie Moderne (5 /16), L' (また『蜻蛉集』に関する記事〔LeRappeI(5/20)〕および『蜻蛉集』の大規模な広以下に個展評の記事の一つを訳出する。読者諸氏もすでに必ずや通りで出会ったことがあると思われるパリ在住の日本人画家,山本氏が,コーマルタン通り2番地のシューダンの間において一般公開の個展を開催し始めた。油彩画約20点,興味深い彩色の探求により絹地に描かれた水彩画,そしてたいそう愉快で奇抜なカケモノ等からなるこの展覧会は,魅力的で変化に富み,かつてジェロームの弟子であったこの画家が,きわめて豊かな想像力の持ち主であることを示している。山本氏が展示している4点の油彩大作のうち,私が最もひかれるのは,優雅な独創(1) 山本芳翠のパリ留学(1878-1887)の実態について個展案内記事:~(5 / 8), ~ (5 / 9), ~ (5 /11), Journal des Arts (5 /12), Moniteur des Arts (5 /15, 5 /22, 5 /29, 6 I 9), Le Courrier de l'Art(5 /15),等の新聞・雑誌に発見。Echo de Paris (5 /21), Le Reveil (5 /22),等の新聞・雑誌に発見。告〔~(5/19,5/26, 6/5)〕も発見)。un peintre japonais (ある日本人画家)-540-

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