忠期(3) 国際会議出席出席者:学習院大学文学部教授小林間:平成6年5月12日〜5月22日イタリアのヴェニス大学に設置されている国際北斎研究センター(TheInternational ドルフィン講堂を会場に同センター主催の第2回国際学会「北斎とその時代」を開催した。これに先立つ第1回会議は,4年前の1990年5月に同じ会場で開かれ,会議の成果として英文の報告書“HokusaiPaintings-Selected Essays"がすでにヴェニス大学より刊行されている(1994年)。本会議は,ヴェニス大学教授ジャン・カルロ・カルザ(GianCalro Calza)氏の提唱により実現したもので,彼を助けるコア・メンバーとしては,アメリカからジョン・ローゼンフィールド教授(JohnRosenfield), 日本から辻惟雄教授と私が加わり,文字通り国際的な連携の下に運営されてきた。今回も,浮世絵師葛飾北斎個人の画業にかかわる研究のみならず,北斎と同時代の日本の美術や文化,あるいはその後の展開についてまでと,広範な問題について,欧・米・日の日本美術史研究家が21名もの多く発表するなど,大規模かつ充実した学会となった。鹿島美術財団から助成金を与えられた参加者としては,辻氏や私のほかに若手の久保田一洋氏が招待され,著名な研究者たちに伍して清新かつ精細な研究発表を行い,注目された。学会終了後,4人のコア・メンバーで今後の運営について協議した。その結果,次回は3年後の1997年に同じくヴェニスで開催することとし,北斎の代表作を展観する特別展を併催してはどうかという意見も出された。現在その実現に向けて準備しているところである。北斎と広重の花鳥版画の比較この機会に花烏画を通じて北斎と広重の作風を比較して論じて見たい。浮世絵版画が本格的に花鳥画という東洋・日本の伝統的な主題分野に展開していっ① 第2回ベニス日本美術会議ー北斎とその時代く発表要旨>Hokusai Research Centre)は,1994年5月17日から20日までの4日間,同大学カサ・-552-
元のページ ../index.html#564