④ アジア学協会年次総会(第47回)(Association for Asian Studies The 47th Annual Meeting) 出席者:青山学院大学文学部史学科講師岩下哲典期間:1995年4月6日〜4月9日はじめに4月6日より9日に,アメリカ・ワシントンD.C.のワシントン・ヒルトンでおこなわれたアジア学協会年次総会(第47回)に,鹿島美術財団のご援助をいただいて,参加した。参加の第一の目的は,スタンフォード大学大学院ロバート・エクスセン氏が組織した,「幕末日本における情報としての画像」と題するパネル・セッションで「政治情報と風刺浮世絵ー歌川国芳作「きたいな名医難病療治」にみる庶民の政治権力者イメージー」と題して,研究発表を行うことであった。第二の目的としては,その他のパネル・セッションを見学・聴講してアメリカにおける日本研究の状況を見ておきたいということであった。以下において,アジア学協会年次総会参加という今回の研究活動を報告する。1.パネル・セッション「幕末日本における情報としての画像」参加今回,私が参加したパネル・セッション「幕末日本における情報としての画像」は,スタンフォード大学大学院ロバート・エクスセン氏が「19世紀半ばの日本における対外的な状況の再改編」を,岩下が「政治清報と風刺浮世絵」を,国際基督教大学教授ウィリアム・スティール氏が「幕末日本における外国人一友達なのか悪魔なのか(フレンド・オァ・フィーンド)ー」をそれぞれ発表し,コロンビア大学教授ヘンリー・スミス氏がコメンテイターを,司会をスティール氏がつとめるという構成で行った。このパネルで,素材として共通して用いられたのは,浮世絵,瓦版などの画像史料である。これまで,浮世絵や瓦版は,歴史的・社会的研究の素材としては,限定的乃至は不完全な利用に限られていた。今回,パネラー3人は,幕末の浮世絵や瓦版のなかから,有効な歴史的情報を引出し,それらに考察を加えて,徳川末期の日本を画像史料によって理解する新たな方法を導きえたと考えた。-559--
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