主期(4) 国際会議開催催:広島芸術学会共催・後援:日韓学生美学研究会,芸術研究振興財団,広島修道大学共催場所:広島修道大学ほか間:平成6年7月22日〜24日報告者:広島大学総合科学部助教授青木孝夫さる平成6年7月22日から24日にかけて開催された日韓・広島芸術共同研究について,申請脅で述べた趣旨に応じた報告を行うことにしたい。その際,広島芸術学会や日韓学生美学研究会や市民のそれぞれの参加者に対する,状況認識や研究姿勢の自覚に関する寄与を論述の中心とする。この国際会議の企画の趣旨として,「異文化交流の進む今日的状況で,アジアの芸術を,西洋の視点ばかりでなく,我々が帰属している東アジアの社会や伝統にオ卓さしつつ研究しようと,共同事業を計画した。研究発表の場を設け,シンポジウムを開催し,この事業の中核とするだけでなく,柱の一つに,近代的美術品とは伝統を異にし,また作品の質を異にする陶磁器の見学と実際の創作現場の研修・見学を行う。」と述べた。今回の報告書では,この陶磁器の見学・研修・研究発表による神益を中心に述べることにする。萩焼の原点から現在に至る作品の変容の過程を親しく見せてくださった第十三代坂高麗左衛門氏宅での見学会では,萩焼の原点として移入された作品の様式が,時間をかけて受容・消化され,言わば和様化されていく過程を目の当たりにすることができた。萩焼を担う累代の家を継ぐ個人を通じ,様式の変化が大きな時間的規模でも起こっていること,いやそれが個人を越える大きなものを通して目指されていることが実感された。それは,当初一つの文化の伝統にとって異他的なものを,文化の母胎が学習し,やがてそれを消化し,① 日韓・広島芸術共同研究(Japan-Korea-Hiroshima Cooperative Research and Symposium about Asian Art and Aesthetics) I 異文化交流による<美意識〉の形成とその変容について-563-
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