鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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受け継いで,参詣曼荼羅の起源として古絵図を重視する立場を表明されている。以上,従来の研究を簡単にまとめてみたが,参詣曼荼羅の源流として宮曼荼羅・社寺縁起絵・古絵図の三者が想定されており,研究者間で意見の一致を見ていないのが現状である。また,その考察は,参詣者や縁起的図像の有無,あるいは絵解きの対象とされたかどうかといったモチーフの意味内容の分析に主眼が置かれることが多かったと言えるだろう。(3)お伽草子絵巻の場合は建物の全体観が描かれることは少ないが,当然平行に描かれるべき線が,そのように描かれていない作例が極めて多い。-51-

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