鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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ヽノヽ~図3ジョヴァンニ・ベッリーニ「サンティ・図4ジョヴァンニ・ベッリーニ「サン・ジョッベ74年頃である。おそくとも74年には完成に近い状態にあったと言ってよい。ジョヴァンニ・エ・パオロ祭壇画」(模写)まず『プレラ祭壇画』である。人物は聖堂のアプシスを思わせる建物の内部にいる。その位置は一見すると内陣,もしくは交差部のように見えるが,ミース,シャーマンか指摘したように,洗礼者ヨハネの腰の横に交差部身廊側の柱の基部が見えることから,彼らが身廊内にいることが明らかである。視点は聖母の目の高さにある。聖母は,床が一段高くなったところに置かれた椅子に座っているが,豪華な玉座ではなく比較的簡素である。聖人たちは左右の低いところに立つ。この作品の制作年代については,シャーマンの60年代後半という意見から,若山映子の1474-78年頃という説まで,およそ10年ほどの幅がある。しかし現在もっとも有力なのはミースが提唱した説,1472-ミースによれば,ピエロの作品に描かれた建築は画中の人物を包み込むだけでなく,画面手前の鑑賞者のいる現実の空間にまで連続している。建築の末端部分と画面の縁とが一致しないことがそれを示している。つまり建築は途中で切断されている。このような建築の描写はミースによればイタリアにはなくネーデルラントに見出される。例えばヤン・ファン・エイク『ヴァン・デル・パーレの聖母』(1434年),ヨース・ファン・ヘント『使徒たちの聖体拝領』(1473-74年)がそれである。ピエロは此処から祭壇画』ヴェネツィア,アカデミア美術館(2) / -71-

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