鹿島美術研究 年報第13号別冊(1996)
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(6) その後,ラクシュ自身もロスタムの死を予感する箇所が見られる。ロスタムの没(7) ロスタムは祖父の勇者サームの牛頭の鎚矛を持っているのが挿絵に見られる。(8) ロスタムとラクシュの場合は,単なる愛馬としての位置付けだけではなく,「牛頭(11) 『ハディース』(預言者ムハンマドの言行録)にも同様の記述が見られる。テクス(13) 『コーラン』第38(サード)章第31■33節。(16) 『ハディース』中巻.pp.144。(1り好例が砂漠の宮殿クセイル・アムラーで発見されたフレスコ画であり,後期ロー運べるかどうかが吟味された上,夜には禍を避けるため魔除けの香木が焚かれるほど大切にされた。後,彼の墓所が設えられ,その扉の傍らにラクシュの墓が建てられた。それはロスタムの墓を守護するかのようなラクシュの立像であった。の鎚矛・栄光・ラクシュ」の持ち主(ロスタム)をイランの救世主として象徴している。(9) 「出エジプト』;第14章〜第15章,『エレミヤ記』;第6章第23節。(10) テクストは『コーラン』世界の名著15,藤本勝次・伴康哉・池田修訳,中央公論社,昭和45年を使用した。トは『ハディース』ブハーリー著,牧野信也訳,上中下巻,中央公論杜,1994年を使用した。(12) 『コーラン』第3(イムラーンの)章第14節「女,子ども,積みあげられた金銀の山,名馬,家畜,それに田畑。こういうもろもろの欲望の追求こそ,人人の目には美しいことのように見える。しかし,このようなものはみな現世の快楽にすぎない。神のみもとにこそ,すばらしい安息所があるのだ」とある。(14) 『ハディース』中巻.pp.260,下巻.pp.345。(15) 第1天でアダム,第2天でヨハネとイエス,第3天でヨセフ,第4天でイサク,第5天でアロン,第6天でモーセ,第7天でアブラハムに会見する。その後預言者はアッラーの玉座に近づき,礼拝に関する定めを受け,その日はラジャプ(7)月27日の夜とされている。このムハンマドの体験が精神的なものなのか,幻覚的なものなのか解釈が分かれている。マおよびビザンチンの影響が見られる。人体の描写が自然であり,明暗法が用いられている。-338-

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