鹿島美術研究 年報第13号別冊(1996)
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彩色摺大本二冊明和2(1785)年。『海の幸』の趣向を踏襲した書。勝間龍水が描いた草花と虫類の絵本,およびそれに因む発句を収めた色摺本。巻末に山を題とした発句,歌仙を付す。(9) 笠屋左簾は素養庵古道とも号す江戸座の俳人で,一説に吉原の三浦屋の主人とも伝えられる。(10) 『絵本春の錦』鈴木春信/画半紙判彩色摺絵本2冊明和8年(1771)刊山崎金兵衛/版国立国会図書館蔵。以下,序を掲載する。「案にいまめかしき風俗を画きしは鈴木氏の筆に有よって其奄を需めて世に触し錦絵の彩色をくはへ錦の文字を相続て春の錦と題し新に余が工夫し金山堂をすすめ遂に諾し此二巻とハなしぬ春の日の朗に色彩を映し永き日のも手遊亦世に行れん事をねこふ辛卯正月吉日碧玉堂述」(11) 拙稿「春信晩年の絵本研究」(『学習院哲学会誌』第18号平成6年6月)参照(12) 江戸東京博物館企画展図録『錦絵の誕生』(平成8年3月刊行)143頁第五ー3図掲載。-490-

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