建築と庭園:ジョーンズ←→ル・ノートル(第一段落)柱・アーチ←→テラス・グロット空間的・運動的対比.. 柱を立てる←→グロットを掘るアーチをかける←→テラスを築く水の上行←→下行その他の対比.. 丘の有限的尺度←→天空の無限描く(色彩)←→意図する(デッサン)そしてこれらは,より重要な対比と重なる。すなわち狭義の庭(人工的部分)と,その外の「田園」「空き地」との対比である。なるほどこの対比は,必ずしも明示されていない。実際,それを述べた一句,「田園を呼び入れ」(Callsin the Country)は,従来寧ろ単に庭園を開き自然化せよという要請とされてきた。むろんそうした解釈もあながち誤りではない。しかしそうした解釈は,この箇所で対句的表現が多用されていることからすれば,一面的と言うべきであろう。とりわけ「〔中に〕呼び入れる」(callin)という言い方に注意すべきである。すなわちポープは,(相対的に)閉ぢされた或る人工的内部(in)を前提した上で,そこに外部の自然を取り込もうとしているに過ぎない。このことは,視野を広げ,一節全体の中心主題,自然と芸術の関係へ目を転ずる時,一層明らかになろう。先ず,この箇所で推奨されている庭園は,全体が自然そのものと錯覚されるような庭園ではない。確かにポープは,ティモンのヴィラの整形性・人工性を批判する。しかし,例えばそこで嘲笑されていた「テラス」は,この一節では理想の庭に置かれている。またポープはル・ノートルやヴェルサイユに否定的ではない(46, 46n., 71)。要するに彼が批判しているのは,誤った整形性・人工性であり,丘←→谷空き地←→木陰結合←→変化分断←→誘導-621-
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