Studies) ② ヨーロッパにおける古典古代期をフィールドとする研究者の学際的交流(Accademical contacts with Japanese scholars in the field of European Classical 招致研究者:ヘルムート・ズィヒターマン(HellmutSichtermann) ドイツ・フライブルク大学名誉教授(在ローマ)ドイツ考古学研究会前写真部長報告者:東京大学文学部教授間:平成7年10月15日〜平成7年10月30日ズィヒターマン教授の訪日の成果(訳文)今回のズィヒターマン教授訪日の目的は,日本各地で講演会や学術研究会を開催し,大学あるいは博物館という場を通じて,多くの研究者や学生諸氏との間で新たな交流をもつことであり,所期の目的を十分に果たすことができた。とりわけ氏の該博な知識と経験を反映して,考古学や美術史学は言うに及ばず,西洋史学,古典学,ゲルマン学など様々な分野の研究者たちとの間で,公私にわたる実り多い交流が持たれたことは特筆に値する。短い滞在期間にも関わらず,氏は精力的に各地を訪問された。まず東京大学,早稲田大学,東北大学,同志社大学の各大学において行われた2題の講演は,その内容が非常に学際的な性格を帯びたものであったことから,様々な分野の研究者や学生たちを魅了したとともに,常に活発な議論をかき立てた。学生諸氏の中には,考古学や西洋美術史学の分野における,自らの研究指針や研究成果に対する評価を氏に問う者もいた。氏は80歳という御高齢ではあるものの,学問に対する精力の衰えは全くうかがうことはできない。議論や助言の求めに対しては常に真摯な態度で臨まれる氏の姿は,その卓越した科学的かつ教育的な経験の豊かさのみならず,教養と思いやりに富んだ人柄をも日本の聴衆に印象づけた。また氏の来日を記念して東京大学総合研究資料館において開催された学術会議においても,氏は,参加者各位の研究発表の後に積極的に議論に参加された。さらに公的行事の合間を縫って,様々なプライベートな会合や招待なども行われたが,それらを通じて,その他の日本人研究者たちと知り合う機会も得られた。期シュテファン・シュタイングレーバー-677-
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