2.篠塚智恵子(常盤松女子大)氏の様々な著作や論文は,日本の学会においても既によく知られていたところであるが,とりわけ,考古学や美術史学という一つの側面と,文学的な世界という別の側面との連携や関連性を際だたせる,という点において非凡のオを印象づけた。既にアジアの多くの国々を歴訪し,そこで多くの経験を得た氏にとって,今回が初めての訪日であったが,氏とはかつてヨーロッパで深めた親交を保っている日本人研究者も少なくない。その中の一人が,氏の古くからの友人である早稲田大学の沢柳教授であった。氏との再会を楽しみにしておられた沢柳教授ではあるが,氏の訪日以前から体調を崩され,残念ながら再会の機会を得ることなく,11月の初めには不帰の人となられた。さて,特に日本の大学も海外に向かってますます大きく窓を開きつつある今日,日本とドイツやヨーロッパの学会の関係を,より強固で有効なものにするという点を考慮すると,氏と同分野のまた同世代のドイツ人研究者の中でも,日本に招待されるにふさわしい研究者は,氏をおいて他にはなかった。日本滞在中に訪れた博物館や寺院や城郭や庭園などから,あるいは折に触れ目にした特徴的な風景などから,氏が日本文化や日本の美術のなにがしかを見て評価を与えることが出来たことは疑いもない。これらの訪問を通じて研究者や学生と東洋文化と西洋文化の違いや類似あるいは共通性に関する議論を交わしながら,氏は興味深い認識と結論に立ち至ったのである。プログラム(発表)1.前川誠郎(新潟県立近代美術館)ヘルムート・ズィヒターマン先生来日記念学術会議(於東京大学総合研究資料館)平成7年10月21日: Buddhismus und Shintoismus in Japan : The Ship of Theseus-Reconsideration of the Fran~ios-Vase 3. Stephan Steingraber(シュテファン・シュタイングレーバー)(東京大学): Zurn ikonografischen und hermeneutischen Wandel von Pygmaen-und _678--
元のページ ../index.html#689