—ァクイレイアとイストリア半島③ 古代イタリアと地中海:その交易(Ancient Italy and the Mediterranean: International Trade-Aquileia and lstria) 招致研究者:ルイザ・ベルタッキ(LuisaBertacchi) 督局局長)報告者:イタリア文化会館広報担当古川上子間:平成7年11月25日〜平成7年12月8日毎秋,イタリア文化会館が開催している《古代イタリア歴史・考古学セミナー》も7年目を迎えました。メーン・テーマは毎年異なりますが,本年度については,未だ日本においてもまとまった文献的な資料も少ない,また専門研究書にしても古代ローマ市の一部として概説的に触れているものはあっても,詳細な最新の発掘調査などからの情報を盛り込んだようなものはほとんど見あたらない“古代イタリアと地中海:その交易Ancient Italy and the Mediterranean: International Trade"ということになり,紀元前2世紀頃からイタリア半島を征服して地中海域を舞台に大きな成長を遂げて北へと領土を拡大していったローマ人と,彼らが地中海沿岸に建設した植民都市,とりわけローマ市民植民都市よりもっと自由を与えられていたラテン市民権をもつラテン人植民都市との関わりを,その交易面を中心に,出土品や港の遺構,碑文などから経済状態や文化的背景までを考察していくことになりました。先ず序論としてリチア・ヴラド・ボッレッリ氏が『古代の地中海と水中考古学」でセミナーの口火を切りました。古代世界を語るとき,その基盤となる考古学的証拠といえば,これもまた,はとんど残っていないのが普通であり,後年の発掘調査の積み重ねに頼らざるをえません。そして今回のように地中海を中心にしての検証となると,その発掘調査も近年になって著しく進歩をみせた潜水技術や排水機器などの科学的な方法によって,考古学の一分野として認知されるようになった“水中考古学”という,日本では琵琶湖や野尻湖など少数の湖沼や瀬戸内海で僅かに試みられただけの考古学が,イタリアでは大いにクローズアップされたとの報告がありました。このたび鹿島美術財団の招致援助を受けて本セミナーの講師として初来日したルイザ・ベルタッキ氏は,イタリア政府の考古財保護監督官として1957年以来,40年近く期国立アクイレイア考古学博物館名誉評議貝(元アクイレイア考古財保護監-680-
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