③ ボストン美術館所在日本美術作品総目録刊行のための打合わせ報告者:国際日本文化研究センター教授目的今回のボストン美術館訪問の目的は,鹿島美術財団の援助により実施されているボストン美術館所蔵日本美術品の総合調査とその総目録の作成,出版の計画に関するものである。調査はその第一次分が今年中にほぼ完了する。それを受けての総目録出版の計画は,出版社が採算上の理由から引き受けることに慎重で,契約がなかなかまとまらない。最近ようやく講談社が実施に踏み切ったところ,今度はボストン美術館側が30%のレイオフ実施という困難な事態に陥り,出版計画の実施に新たな障害を生じた。こうした事態を打破するため,辻は今回クリーヴランド美術館出張の機を利用してボストンまで足をのばし,館長のマルコム・ロジャーズ氏,館長補佐のブレンドR.ベンジャミン氏,東洋部日本美術主任のアン・ニシムラ・モース氏と会談,出版計画に関する館側の構想,契約を結ぶに当たっての条件など,当面必要な情報を聞き出し,それに対する鹿島美術財団の見解を代弁した。この会談を通して,ボストン美術館側が,鹿島美術財団の理解ある援助に最大限の感謝をしていること,日本美術の総目録作成の意義を館全体の事業のなかでもとくに重要なものとして位置づけていること,人員削減という困難な事態の中で総目録出版を何とか実現させたいという熱意をもっていること,などを知ることができたのは収穫であった。会談には,講談社の総合編纂局長丸本氏が同席する予定であったが,事情により急に出席できなくなったのは残念であった。しかし丸本氏は9月6Bボストン美術館を訪れ,前記のスタッフその他出版部長らと会って,出版についてのこまかい打ち合わせをすることになっている。丸本氏は帰国後ただちに編集作業にとりかかり,来年3月までに第一次調査分についての総目録を出版する予定である。7月25日クリーブランド空港よりボストン空港まで飛行。午後,ボストン美術館へ行き,アン・モースさんに会い,明日の館長との会見のための打ち合わせ日程辻惟雄-718-
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