9〕および「人物御龍吊画」に描かれた男性〔図10〕は墓主に当たるとして,考古学ている。1甫人は燭と接合している。高さは19.2cm。この桶像は双瘤略陀の背に人が詭いて乗り,両手で一本の火屋を捧げ持っている[図5〕。もう一件は,戦国時代の青銅質の灯りを持つ男性桶。1987年湖北省荊門県包山M2から出土され,現在湖北省博物館に収蔵されている。1面が灯りを手にしていることから,永遠なる光明を身の周りにとどめておきたいとの願望の意図がうかがえる〔図6〕。第四類の題材を判断するのは最も困難である。墓主と何らかの関係があるものと推測される。例ー,春秋時代晩期あるいは戦国時代の漆絵木質直立式男性桶。1958年に河南省信陽市長台関のM2から出土された。この桶は,合わせて10件の桶が出土された内の一つで,代表的な例としてあげられる。高さは64cm。直立し,頭部はかなり大きく,全身のほぼ五分のーを占めている。短髪が明瞭に描かれている。眉は濃く,三日月形をしている。目は大きく,凝視している。鼻は高く,唇は突き出し,その表情からは傲慢な気性が感じられる。紋様の描かれた長袖の深衣を着,両手を腹部の前で合わせている。漆の色は二種類で,顔面,手および飾り物はオレンジ色で,五官の線と衣服の裾の部分は黒く塗られている〔図7J。例二,戦国時代晩期の彩色木質直立式男性桶二件。湖南省長沙地区出土。その1,高さ57cm。(〔図8〕右側)その2'高さ51cm。(〔図8〕左側)両者とも墨で髭が描かれていることから,男性桶であることがわかる。全身の比率は正確で,頭部から腰部まで一本の木によって筒状に彫られている。頭部は平らだが,わずかに曲線を幣びている。顔面は扁平で,輪郭は三角形をしている。眉骨を強調するために,隆起させて彫刻するという工夫をこらしている。目は頗る大きく,また瞳は丸く,鼻は高く三角形が突起している。髭は「八の字形」で,頭髪と髭は絹によって装飾が施されている。向かって左側の像は,両手を前方に平行に伸ばし,元は縦向きに環状の物を握っていたようである。長い服を着ている。一方向かって右側の像は右手を前方に伸ばしており,元は横向き環状の物を握っていたようである。左手は上向きに湾曲させ,手の指を揃えている。膝下までの服を着,2本の足が彫られている。これらの桶のモデルとされたのは高貰な者であったと考えられる。その理由は,同時期に湖南省,湖北省にて,それぞれ発見された「人物龍鳳吊画」に描かれた女性〔図界と美術史学界において一般的に認められている。従って上述の表現手法から類推できることは,おそらく,それを「駆使される者」の類いに属させるのは困難であり,-132-
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