鹿島美術研究 年報第14号別冊(1997)
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る(ed.V. Surtees, "The Diaries of George Price Boyce", 1980, p. 30)。バーン=ジョーンズは1860年に大英博物館でこの写本を友人に見せて説明してい『フィリッパ王妃の祈疇書』("Psalterof Queen Philippa", 14世紀初期,英国,大英図書館HarleyMS. 2899, 1753年より収蔵)は,ファクソンの同上書によってロセッティが利用した可能性が指摘されたもので,さらに《ダヴィデの血統》ていたと考えることができる。『クリスティーヌ・ド・ピザン作品集』("Poemsof の衣装と装飾』に複製されている。ただし,ロセッティか《ジェイン・モリスの宝石箱》にコピーしたフォリオ376,48は当時の複製に紹介されていないことから,大英博物館(現大英図書館)収蔵のオリジナルの『クリスティーヌ・ド・ピザン作品集』を見たと考えられている。ーン=ジョーンズとウィリアム・モリスもまたバーミンガムの本屋で,トマス・マロリーの『アーサー王の死』(1470年)のロバート・サウジー版の1827年版を発見した。ッティはこの本に載った中世の写本挿絵の複製から細部を自作に取り入れている。(10) 「サー・ギャラハッド」の挿絵の原画となったドローイングは残っていないが,1859年に水彩バージョン(S115,1859年,水彩,バーミンガム市立美術館)が制作された。挿絵の原画は《シャロットの乙女》(S85,1856-1857年,ペン,インク,ウィルミントン美術協会),《聖チェチーリア》(S83),《アーサー王と嘆きの王妃たち》(S84),《南の国のマリアナ》(S86,1857年,ペン,インク,バーミンガム市(S105, 1858-1864年,油彩,ランダフ大聖堂),《クリスマス・キャロル》(S98,1857-1858年,水彩,フォッグ美術館)などとの比較から明らかにオリジナルを見Christine de Pis an",シテ・デ・ダームの挿絵画家,1403-1408年,大英図書館,Harley MS. 4431, 1753年より収蔵)は,フォリオ3がヘンリー・ショウの『中世(5) J.A. Gere "Pre-Raphaelite Drawings in the British Museum", Exhibition Catalogue, 1994, p. 24. (6) 1955年の9月に,オックスフォード大学工クセター・カレッジの学生であったバ(7) 谷田博幸著『ロセッティーラファエル前派を超えて』,平凡社,1993年,pp.150-155. (8) Faxon, op. cit., pp. 92-94. (9) H. Shaw, "Dresses and Decorations of the Middle Ages", 1843, p. 60.ロセ-252-

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