状態が維持されるための業務を意味している。他の美術館から借用して行う特別企画展示などでも,展示材,展示方法の安全性,防災などの機能的な管理が出来るように配慮することもこの業務に含まれる。「防犯防災」では館内での事件事故に対応する。劇薬などの薬品バンダリスト,刃物銃器で破壊を行うバンダリストなどへの対応マニアルの作成など。他に水害,火災,地震などの大きな破壊に対応するマニアルや予防措置などを講じておくこと。を分析して文字資料にしておくことがある。それは作品の美術史的資料とは別の角度から収集するので,新たな所蔵品データとなる。例えばフランドルの板絵の地塗り層の上の赤外線吸収する素描を調査したとする。近年流行の画像処理を併用して,デジタル処理で小さなモンタージュの積み重ねをスムージングの技法で見やすくするなど加工処理することもできる。見やすくなった資料は,たとえ具体的に作家名などが判明しなくても,「物」としての調査結果を公表することで,充分他と比較できる資料として国際貢献できる。視覚情報は今後様々な加工が可能で,美術資料として使う側が目的を持つことが課題である。修復保存は多様な機能を発揮できる。しかし美術館が明確な将来構想を持たない限り,単に労働を提供するに留まるだろう。また修復家や保存科学者が個人的な興味で,所蔵作品などの調査研究を始めれば,美術品を壊すだけになるだろう。当然,有能なスタッフと明確な理念かあって,初めてその「役割を」果たす。参考文献:3)学術調査研究の「所蔵品調査」では,光学機器で視覚情報を得ることと,それPhilip Ward "The Nature of Conservation" A Race Against the Time. The Getty Conservation Institute Marina del Rey, California 1986 Alan Fhenix and Caroline Villers "The Courtauld Institute of Art, Post Graduate Diploma in the Conservation of easel Painting: A Multi-DiscゆlinaryApproach" Newsletter of BDR, July 1996 "Shared Re紗onsibility"-514-
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