鹿島美術研究 年報第14号別冊(1997)
537/590

標準的な西洋の遠近法を採用した作品である。明治以来の近代絵画の特徴は,日本画と西洋画の併存であり,空間処理の方法でもこの二種類の方法が併存しており,両者の間には相互影響があったかもしれない。これらの遠近法からはそれぞれ優秀な作品が生まれた。総じて言えば,日本画の空間処理の方法は中国画のそれと大体のところ同じであるが,それぞれ独自の発展過程と特徴をも有しているということである。日本画における空間処理についての調査・研究を終えて帰国した後,更に関連資料を補充しながら,「中国と日本の絵画における遠近法」と題する論文を執筆する予定である。この論文の内容はほぼ以下の通りである。序説四日本画の空間処理五中国・日本の絵画における遠近法の定説について六遠近法に関する視覚科学の知識七中国・日本の絵画における遠近知覚の特徴八結論― 中心遠近法について― 中国画の空間処理中国敦煙研究院楊(訳:小林仁)1996年9月雄-527-

元のページ  ../index.html#537

このブックを見る