and Self-Inscriptions in the Works of Mi Yu-jen" Alfreda Murck & Wen C.Fong ed. Words and Images : Chinese Poetry, Calligraphy and Painting The Metro-politan Museum of Art and Princeton University Press, New York & Prin-ceton,1991)(「李唐筆万堅松風図・高桐院山水図ーその素材構成の共通性について」第二次包括的調査に基づく『中国絵画総合図録続編』への掲載を許可するとの館側の意向を非公式に得ている状況であり,『中国絵画総合図録初編・続編』CD-ROM版も,調査の成果をさらに広く公開する意味で,近い将来発行することを考慮してはいるものの,上記の理由により,各美術館の著作権周辺権,ないし作品所蔵権の主張を如何に解決するかが,これまでより以上に大きな問題となってくると予測される。今回の予備調査は,上記の通り,第三次包括的調査のためのごく基本的な調査にとどまった。今後は,来年度より刊行予定の『中国絵画総合図録続編』刊行終了の後,ただちに本格的予備調査に入り,既に述べたように,この十年以内をめどに,第三次包括的調査を実施する必要があると認められる。その上で,ただちに『中国絵画総合図録三編』刊行に向けた作業を開始し,工具書としての同図録の今日性を維持し続けることが切に望まれる。今回の海外派遣の第二の目的である,メトロポリタン美術館主催「台北故宮博物院所蔵名品展記念宋元の美術シンポジウム」における研究発表「宋元山水画における構成の伝承」に関しては,5月10日より12日まで,三日間にわたるシンポジウムの最終日に別記英文による研究報告を行ない,無事その責を果たすことができた。その主旨は,以下の通りである。すなわち,宋元山水画においては,既に米友仁「雲山図巻」(クリーヴランド美術館)と牧硲「漁村夕照図(灌湘八景図巻断簡)」(根津美術館),李唐「万堅松風図」(台北故宮博物院)と「山水図(対幅)」(大徳寺高桐院)などに即して指摘した通り("TheRelationship between Landscape Representations 『美術史論叢』8'東京大学文学部美術史研究室,1992年),構図を左右置換したり,構成のある部分のみを用いて再構成したりすることが行なわれていた。この発表においては,構成の伝承と称すべき上記現象について,より包括的な視点から論じ,さらに多くの宋元山水画作品に同様の現象が認められることを明らかにするとともに,戸田禎佑東京大学名誉教授の古典的論文「中国絵画における形態の伝承」(『(東京大学)東洋文化研究所紀要』第57冊,1972年)の論旨を人物画の人体形態から山水画の空間-536-
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