鹿島美術研究 年報第14号別冊(1997)
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③ 国際会議名:カレッジ・アート・アソシエーション第85回年次大会出席者:東京国立文化財研究所写真資料研究室長鈴木廣之期間:1997年2月12日〜2月15日出張国:アメリカ合衆国カレッジ・アート・アソシェーション第85回年次大会(2月12■4日,於ニューヨーク市)に参加し,デューク大学美術史部助教授スタンレー・アベ氏(中国美術史)の主催するセッション「アジア美術史をつくるの再構築と『美術』の創設」(TheReconstruction of the Body and the Inauguration セッションの趣旨:前年の大会では〔北米での〕従来の美術史研究のあり方に関心が集まったが,最近の研究から,その多くがヨーロッパ,とくにドイツの美学理論の伝統に負っていることが明らかにされた。このように美術史学が西洋のエピステモロジーに基づくのならば,非西洋を対象にした場合,そこには明らかな棚翻が生じる。本セッションでは,この美術史学の系譜の問題をアジア美術史へと押し拡げたい。そこでは東西の概念的な区分そのものの妥当性がまず問題視されるが,発表には,美術史家の日常的な教育・研究のあり方をふまえながら,この問題のもつ論理的な側面を問うことが求められよう。ここでの意図は,西洋の学としての美術史の妥当性の問題から歩を進め,アジア美術史構築の具体的戦略を問うことにある。東西間の空間と認識論の枠組みの相違にはどのような妥協点があるのか。差異は解消されるのか,保持されるのか。あるいはどう再布置されるのか。美術史の過去と現在はともにこの問題にかかわるだろう。今世紀末,西洋が政治的・文化的なヘゲモニーを失いつつある一方で,西洋の文化と知はグローバル化している。この明暗を視野におさめたとき,美術,芸術家そして美術史家が直面している様相とアジア美術史研究はどう絡み合うのだろうか。だれが,どこで,なにをどのように研究するのか,いま問い直される。東と西の諸問題(College Art Association, 85th Annual Conference) Art History : The Problematics of East and West)において「明治期における身体of "Bijutsu" (Fine Arts) in the Meiji Period)を発表した。-573-」(MakingAsian

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