(4) その他超精細画像データベースによる美術研究報告者:東京大学総合研究博物館助教授西野嘉章研究2年度目にあたる本年は,当初の計画書に基づいて,最終年度に予定されているポンペイ壁画群画像データベース構築作業に向けての予備的な作業を行った。共同研究者青柳正規はポンペイ地区文化財監督局文化総監のジョヴァンニ・グッソ氏と視覚資料の画像化に当たって必要となる様々な問題について,現地のイタリアで打ち合わせを行い,次年度以降の事業遂行にあたっての合意を得た。同時に,イタリア側資料の撮影を行い,それらについて画像を様々なレベルで収録し,ポンペイの壁画の未公開画像約百点をサンプルとしてデジタル画像化することが出来た。本研究代表者は海外における先端的な画像情報技術の利用動向を調査するため,昨年の春と秋の2度にわたって欧州8ヶ国(フランス,イタリア,ドイツ,オランダ,オーストリア,チェコ,スロヴァキア,ハンガリー)の主要な博物館・美術館を訪問し,各国の現状について詳しい情報を得ることが出米た。とくに国家主導型の文化政策を積極的に推し進めてきたフランスでは,画像・文字情報の蓄積がすでに膨大な量に上っており,それらか美術館での展覧会や教育機関での研究教育に幅広く利用されている。また,企業メセナに支えられているイタリアの場合にも,展覧会や出版物(CD)のなかにデジタル情報か広範に取り込まれるようになっている。これら海外における予備的な折衝・調査と並行して,東京大学総合研究博物館では秋期の開館記念特別展示「歴史の文字」展や,冬季特別展示「デジタル・ミュージアム」展において,デジタル静止画像アーカイヴ(デジタル・アーカイヴ),デジタル動画像アーカイヴ(ヴィデオ・オン・ドゥマンド),デジタル画像による文化財修復,電視ブック,仮想展示(ヴァーチャル・ギャラリー),CD-ROMカタログなど,デジタル技術の具体的な利用可能を提示する様々な実験を行い,その成果は博物館のホームページ(W.W.W.)を通じていつでも閲覧できる状態になっている。また,文学部でもインターネットにホームページを開設し,昨年度着手した「ピラネージ全版画」(附属図書館亀井文庫蔵)の画像データベースを含む,教育研究用デジタル・リソースのl)本年度の諸事業-577-
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