は,それらが現実的な必要性に応えるかたちで,生み出されたものだからなのである。コスト・バフォーマンスの課題に対するもう一つの回答は,基幹的な情報化センターを設け,そこに設備と人材を集中するという方法である。たとえば,複数の博物館や美術館が連携し情報化センターを共同利用施設として運営して行くことによって,各館の設備投資や雇用負担を軽減することができる。高速情報通信ネットワークによつで清報の共有化が最終的に可能であるとはいえ,各館それぞれが個別的な情報化施設を確保するよりは,基幹情報センターから表示端末を介しで情報の供給を受ける方が経済的であることは言うまでもない。フランスでもそうであるが,博物館施設は今後ますます各館間でのコレクションや情報や人材の相互交流を基礎とする連携を必要とするようになろうし,そうした意味でも共同事業としての情報化推進は現実的な解決策なのではあるまいか。東京大学総合研究博物館を含む国立系のいくつかの博物館施設のコレクションを除くと,デジタル化事業にはつねに著作権の問題がついてまわる。しかしながら,データベースは「公有化」されて初めて価値を有するものである。とすれば,利用上の制限を徒に厳しくするべきではないし,むしろそこからくみ取れる情報を加工して新しい研究へ繋げることの方が大切だろう。-579-
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