注(1) blockbook(英),Blockbuch(独),livrexylographique(仏)。「木版本」のほ(3) Exhibition catalogue, Blockbiicher des Mittelalters : Bilderfolgen als Lektiire, Herausgegeben van Gutenberg-Gesellschaft und Gutenberg-Museum, Guten-berg Museum, Mainz, 1991, pp. 355-395.ここに所載されている所在目録の中版画で刷られた各葉は一枚刷りの木版画と同等のものであり,その集大成が結果として書物の形態をとっているという捉え方もできよう。そう考えると,木版本『黙示録』が単純に活字本によって取って代わられることなしに,活版印刷誕生以後も生産され続けたのもうなずける。そして,木版本『黙示録』は,それまでもっぱら修道院の図書室や貴族,学者の書斎のなかのものだった書物の普及階層をやや広げ,教化訓育や勉学のためと同時に,視覚に訴え,視覚をく楽しませる〉画集の役割をも担ったのではなかろうか。木版本『黙示録』の制作年代を巡る問題とその読者層については,上記のような研究結果を得た。さらに,多くの作例と,相関する写本との比較検討にもとづく詳細なイコノグラフィーの分析か必要であること,当時の紙と印刷本の流通の問題をより具体的に検証すること,といったいくつかの課題が浮かび上がってくることを確認することとなった。当初の目論見である「その制作年代,図像表現,後世への影響についての研究」という包括的な課題は,まだその一部に着手したにすぎない段階であることもまた事実といわねばならない。今後とも,これらの課題を追求することを約しつっ,以上報告させていただく。か「版木本」という訳もあてられる。(2) 1400年代半ば頃までの初期木版画の多くも茶系の水性インクを使い,同様の道具によって手で刷られている。から断片的なものを除いた数を記した。この目録はp.345の断り書きにあるように,Schreiberの目録に掲載されているデータをもとに,追跡調査しまとめたものであり,完璧を期す余地は残されている。したがって今後この数は増える可能性もある。なお,マインツのグーテンベルク博物館で1991年に開催された木版本の展覧会の際に出版されたこのカタログは,今のところ木版本を扱ったもっとも充実した文献であり,これに比肩する類似の研究書はないと言えるため,最新の94 -
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