鹿島美術研究 年報第15号別冊(1998)
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(《L'artet la ville》)が開催された。また,1979年には,サン・カンタン・アン・イ3.新都市と1パーセント政策1974年には,ジェルマン・ヴィアットらのラ・デファンス高層ビル街区案のプロポー1974年,新都市ではエヴリー第1地区のプロジェクトにおいて1パーセント枠の中強化が図られ,権限を地方に委譲して施主の権限をさらに強める方向が打ち出される一方,芸術作品の以下の三種類の分離・独立を認めることによって,都市計画と連動して造形芸術の公共空間への統合がさらに促進される。三種の分離・独立とは次のようなものである。(1)物理的・空間的分離(1パーセント作品は学校施設外の地方自治体の管轄地域に作られてもよい),(2)財政的分離(複数施設の1パーセント予算を統合して使用してよい),(3)時間的分離(施設建設の事後に別個に作品設置の予算を措置することを認める)。新都市開発やラ・デファンスの造形計画が本格化するのは1970年代のことである。ザル募集があり,新都市中央グループは都市環境にふさわしい公的発注の枠組みをまとめて事業を監督する小組織をつくるなど,建築装飾を超えた芸術作品の都市空間への進出の気運が盛り上がりを見せるようになる。1976年には新都市中央グループによる啓蒙活動が活発化し,そのもっとも重要なもののひとつとしてロワイヨーモンでヴィトリー,グルノーブル及び9つの新都市が参加してシンポジウム『芸術と都市』ヴリン開発公社による現代美術と都市の関わりについての展覧会や出版も行われた。での拡張が試みられた。このような新都市の開発計画に1パーセント制度を導入する手順として,モニク・フォーは次の五点をあげている(注9)。(1) 施設建設の前に芸術作品導入の計画をたてる(2) 計画策定のパイロット委員会を組織するメンバーは当該地域担当の都市計画家,施設の建築家,地方自治体の代表,文化省の造形美術顧問,場合によっては新都市事務局の代表(MIQCV:公共施設質向上省間委員会などの外部機関の資金も導入する大規模事業の場合)(3) 建築家または造形美術顧問の提案をもとに,合議制でアーチストを選ぶ(4) 新都市事務局においてドキュメントを作成する(5) 出版,討論会,展覧会などの普及活動を行う新都市において1990年代前半までに1パーセント制度が活用された例としては,以-161-

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