鹿島美術研究 年報第15号別冊(1998)
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く,その制度を運用し改変•発展させてゆく行政機構内部の専門家の力量に負うとこL'art et la ville : Urbanisme et art contemporain/Colloque, Palais du Luxem-注(1) 20世紀後半のフランスの公的発注を制度史的に鳥眠する包括的資料は見出せないArt et architecture, bilan et problemes du 1%, Ministere d'Etat Affaires Cul-turelles, Paris, 1970 bourg, Paris, 30 et 31 janvier 1986, Document de Travail, 1986 La commande publique 1982-1990, Reunion des Musees N ationaux, 1991 L'art renouvelle la ville : Urbanisme et art contemporain, Musee National des Monuments Fran<;ais, Paris, 1992 Le 1 % : Avant et apres la decentralisation, Delegation aux Arts Plastiques, Ministさrede la Culture et de la Francophonie, Paris, 1994 Pour une relance du 1 % : Art et constructions publiques, pratiques et perspec-たといえるだろう。フランスにおける公共芸術の継続とその質の維持は,制度的な枠組みにだけではなろが大きい。新都市中央グループ美術顧問だった故モニク・フォー氏はそうした専門家集団の中心的存在であった。フォー氏は今回の調査研究におけるもっとも信頼できる助言者となるはずであったが,筆者が現地調査にパリに赴く直前の1997年9月6日に逝去された。氏が情熱を傾けた多数のプロジェクトの実態について直接伺う機会を永遠に失ったことはまことに残念である。こうした事情から,今回は新都市の造形芸術計画についての立ち入った調査は保留とせざるを得なかったが,フランスの公共芸術の制度的変遷を跡付ける基本資料の所在を確かめ,未紹介資料の入手経路を把握することができたのは貴重な収穫だった。今後は,新都市における1パーセント制度枠外の計画過程やコマンド・ピュブリク・ナシオナルの運用の実態,1パーセント政策の歴史的評価,現代フランスの公共芸術全般にわたる批判的言説などについて調査研究を継続していきたいと考えている。ので,本研究では以下の資料に部分的に記述された事項を年代順に再編成する作業を行った。本稿ではこれにもとづいて概略を述べる。煩雑を避けるために客観的事実と思われる事柄については注による出典表記を省略する。-163-

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