2)「Museo」の肖像画収集の内容および展示法1)ジョーヴィオと同時代にすでに物故者であった思想家,詩人,学者4)教皇,諸王などの君主たち,武将よび大広間は平屋になっている。先に挙げたジョーヴィオ自身による「『Museo』についての記述」では,肖像画の数々がどの部屋にどのような配列で並べられていたのかについての正確な記述は無い。同文中,彼は「肖像画の秩序」と題する以下の如き4項目を挙げるのみである。2)当時存命中であった思想家,詩人,学者3)画家,彫刻家しかしながら,これは『著名人讃歌』にとりあげられた人物の順序にすぎず,そのまま肖像画の展示の順番を表すものではないと考えられる。展示された肖像画にはそれぞれ,『讃歌』を短文の形で書いた羊皮紙の小片が付いていたことが,訪問者の記録により知られている(注13)。『著名人の讃歌』に登場する人物の名前をその身分や出身地によってカテゴリー分けし,同書の1577年のバーゼル版に施された銅版画による肖像画や,ウフィツィ美術館などに保存されたジョーヴィオの収集品からの模写の存在を網羅的に明らかにしたのはウジェーヌ・ミュンツの業績である(注14)。彼の分類によれば,肖像画収集の内訳は以下のようになる。A 文学者および知識人I. 中世B 為政者および武将II.古代ギリシアIII.ルネサンスII. 中世III.スルタンら東方の為政者V.中欧・北欧VI.英国VII.スペインVIII.フランスI.古代N. 15, 6世紀イタリア10点108点10点12点20点67点12点10点8点3点9点-294-
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