(3) 碁礎データの収集,整理(4) 調査研究の成果どの作品を対象とした。中国大陸は,北京市,上海市,河北省,河南省,山西省,快西省,廿粛省,寧夏回族自治区等を訪れた。中国国内は写真撮影が許されなかった所も多い。上記の調査実施作品に加えて,未調査あるいは調査不能の作品については,写真や文献によって概要を把握するよう努力した。こうして実見及び文献資料によって基礎データを収集した作品数は約400件余にのほ‘り,今後さらに増加することは確実である(「中国仏教造像碑形状別作品リスト」参照)。日本では単に「四面像」「碑像」とのみ呼ぶため,個々の作例の区別が困難であるが,中国では願主名を冠するI乎び方が定培しており,多数の作例の整理には便利である。従って筆者も原則的に願主の姓名を冠する呼称(例「寵永仙造像碑」)を使用し,銘文が無かったり顔主が不明の場合については,所在地にちなんだ呼称(例「石橋造像碑」),形状による呼称(例「四面造像碑」),造像内容による呼称(例「千仏造像碑」)等をできる限り使用した。材質については判別できなかったものも多い。銘記については,記された場所や内容を記録したが,長文の場合は全文を収録できなかった場合も多い。く形状と造像内容,および分布状況〉造像碑の形式としては,まず四面形式と石碑形式の二つのタイプが挙げられる。四面形式は方柱状の石材の4面に造像するもので,4つの面の幅を等しくする場合と両側面の幅をやや狭くする場合とがある。頂部は笠石や屋根を載せた例があり,現在それを失っているものも上面に柄状の突起部が残存している場合が多い。四面像の早期の作例は挟西に多い。映西省西安の北に位置する耀県の薬王山博物館には北魏から唐までの造像碑約70件が保管・陳列されている。その中で最も早い年記を有する(注8)北魏太和20年(496)銘桃伯多造像碑〔図1〕は道教像であるが,表裏二面に造像と銘文を刻むほか両側面にも供養者像を浮彫し,四面造像へ発展する作例といえる。ここに収蔵される造像碑はすべてこの地でつくられたものであるが,早期は単純に正面に1寵のみ造っ-360-
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