鹿島美術研究 年報第15号別冊(1998)
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(CVA)が刊行されており,同著者は現在3巻目を準備中である。この他,様々な展りずっと多く紹介されている。また特に中央アジアやガンダーラ圏など,シルク・ロード周辺の領域からの美術工芸品についての学術研究や収集も盛んで定着している。【調査対象となる主な美術館及びコレクション】東京:ブリヂストン美術館,松岡美術館,古代地中海美術館,永青文庫,共立女子大学付属美術館,東京芸術大学芸術資料館,東京大学付属博物館,東京国立博物館,国立西洋美術館,S コレクション,古代オリエント博物館(池袋),中近東文化センター;埼玉:遠山記念館付属美術館(比企郡); 鎌倉:平山コレクション;熱海:MOA美術館;静岡:富士美術館;滋賀:MIHOMUSEUM(信楽); 京都:ギリシアローマ美術館,橋本関雪記念館,京都大学付属博物館;天理:天理大学付属天理参考館;奈良:正倉院校倉;大阪:大阪市立美術館,OKAコレクション(堺); 岡山:岡山市立オリエント美術館,R.0.コレクション;倉敷:蛯川美術館,児島虎次郎記念館ーオリエント室;下関:下関市立美術館;福岡:福岡市美術館【カタログなどによる公表状況】前述のコレクションの幾つかは,系統的にまとめられて,カタログとして刊行されている。これらのカタログは勿論様々な性格を有するが,その大部分は日本語で書かれているため,外国人研究者が利用するのは実際困難である。学術的に裏付けられた詳しい解説の伴うカタログは唯一,ドイツの代表的古典考古学者エリカ・シモンによって執筆され,英語で出版されている倉敷の蛯川美術館のそれである。1997年に新しく開館された京都のギリシアローマ美術館のカタログも,同じ著者によって刊行される予定である。東京の古代地中海美術館の日本語のカタログは,図版は素晴らしいが,その短い説明文は学術的解説としては不十分である。それに対し,日本にあるギリシア陶器に関しては,研究公表の状況はかなり進んでいる。日本における西洋古代陶器の代表的専門家,水田徹教授によって,すでに2巻の古代ギリシア陶器集大成覧会のカタログがあるが,その中にも日本のコレクションから出展された古代地中海美術工芸品が紹介されている。展覧会は一般に,過去現在を通じて,日本の一般大衆にも古代美術への関心をうながすという重要な貢献をしてきている。-574-

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