鹿島美術研究 年報第15号別冊(1998)
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FG, GHの長さは,ピタゴラスの定理からそれぞれ以下の様になる。AE = (yi5 -1) / 2 = >, EF = I -(yi5 -1) / 2 = 1―¢=ぷ,FG=yi5-2=(喜—1)-1=>3 GH=EF-FG = { 1ー(汀—1)/ 2}ー(汀—2)= 2 x= 1 ->-2 + 1 :.AEを単位長とすれば,AE: EF : FG : CH= 1 : > :ぷ:(1. 6180…)の幾何比例,すなわち黄金比の等比数列となる。さらに命題2においても,与えられた正方形の1辺の長さを基準に,コンパスを使って対角線上に公比> (0. 6180…)の幾何比例,すなわち黄金比の等比数列が生成される。この2系統の対角線の上に導かれる幾何比例の第4項目は,それぞれ命題1では対角線の終点Cに,命題2では対角線を1対¢に黄金分割する地点にくる。したがって,辺の長さ1対2の矩形(doublesquare)の対角線の上に,黄金分割の等比数列が生成(gene-sis)されるので,この作図方法を黄金分割を表すギリシャ語>(Phi)から「ダブルスクェアーのフィオゲネシス」と命名し,命題2をその系としている。なお本稿では黄金分割そのものに主眼が置かれるのではないことから,黄金比の等比数列と表記する。III 稿本第一葉におけるフィオゲネシスホイヘンス稿本の第1書の第1葉は,稿本全体に渡って流れる主旋律として捉えるべきもので,人体を規定する幾何学的な基本図形として提示される。この図は幾何学に拠って人体の形態と構造は,究極的には決定可能であるとする見方“Lineamentidella forma humana guidati della verita et semplicita del compasso"(注28)を元にして描かれている。パノフスキーによって提出されたこの解釈は,第1葉の位置付=ぷー2>+1 =>4 -614 -
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