線」(lineadel Piano alzato al Punto)は対象の距離を導くものとなるので,視距離を求める地点を右枠の外側にモジュールの2.5倍に設定することができる(注38)。このとき,絵画面内の消失点に向かって,図の右枠から外側に延ばした底辺上で2.5倍した地点を視距離を求めるための点Eとする。点Eと矩形の対角線の上の等比数列となる点Pl,P2, P3, Vを結んだ直線を求めて,矩形の右枠の直線との交点をB求められる。《作図の第三段階,逓減率の補正》〔挿図6〕ここで問題となるのが,点Eと仮の消失点Vを結ぶ直線と,矩形の右枠の交点B4である。2つの線分B2■B3,B3■B4からこの交点についての逓減率を求めると,はぼ1.45となって実用上この数値には補正が必要となる。篠塚論文の示す矩形の対角線を5対3に分割する点を取ると逓減率は約1.38となるため実用上は上記の逓減率と同じように扱うことができる。そこでこの点を消失点Vpとし,B4点に換えて比数列を求めることができる。辺の比1対2の矩形の底辺の両端A,Bと消失点Vpを結ぶことでできる視覚のピラミッドにおいて点Aと点Blを結ぶ直線を引き,これと平行な点B2, B 3, Bpを通る直線を引くとこれらの四本の平行線は篠塚氏の指摘している「移動距離点法」(注39)の作図のための対角線,即ちサンパオレージの示していた正確な4本の平行線となる〔図8〕(注40)。この作図方法のもつ意義は作図上,4本の平行な距離点を求める対角線が,初期条件によって変動しないことである。すなわち背景図の作図にあたっては篠塚氏も認めているように,図の一番下の基準となる距離点を求める対角線がわずかでもずれると,そのほかの対角線の位置が大きくずれてしまう。また篠塚氏の示した方法(注その度ごとに定規を紙面から離して置換えなければならない方法である。4本の距離点を求める平行線な対角線をあらかじめ確定することが可能な,上掲の「ダブルスクェアーのフィオゲネシス」による作図方法と比較すると誤差が出やすいものといえるであろう。またサンパオレージの示した図解と比較すると分かるように,図の一番下B3によって,求められた線分の長さから,作図上で遠近法の奥行き方向の逓減率が点Vpと点Eを結んだ直線との交点をBpとする。作図上,このとき矩形の右枠の直線BC上の点B,Bl, B2, B3, Bpから,BからBpに向かって減少していく等41)は,この平行な対角線と,画面の奥行き方向の横断線を交互に繰り返してゆく,1, B2, B3, B4とする。このとき矩形の右枠の直線上の点Bと交点B1, B2, -618-
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