鹿島美術研究 年報第15号別冊(1998)
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注(1) 山根有三「宗達と水墨画ーエ房画家甲・乙.丙の水墨画との関係を中心に一」(2) 田中英二「押絵と押絵貼屏風」(『隔冥記』にみる寛永文化の世界25)『日本美術工(3) 年記はないが,サンリツ服部美術館蔵「弘法大師伝絵巻」奥書の用例もこれに近四,結論俵屋宗達画の作品群中,最も話題性の高い「牛図」の制作年については,多くの専門家たちが様々な意見をもっている。この作品のみならず,画賛物の場合,絵画の方が先に出来上がっていたところに遅れて着賛される場合が想定できるため,本稿のような方法では「宗達画」の決定的な制作年を求めることは不可能とも言える。ただ制作時期の下限を絞り込む上では客観性も高く,極めて有効な検討手段であり,仮に書も絵画も同年の制作であった場合には,数年というかなり短い期間にまで制作年を絞り込むことが可能である。本稿では,これまで実見調査の進んだ限りにおいて,烏丸光廣の花押形態の変遷試案を提示した。今後も調査を進め,新たな用例の収集をおこなって,より一層充実した指標の作成を試みたい。(平成七年三月執筆)『山根有三著作集二(宗達研究二)』平成八年二月・中央公論美術出版刊ほか。芸』679号平成七年四月い形態である。-54 -

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