(1) 外国人研究者招致(Romanesque Painting in France and in Italy) II.「美術に関する国際交流の援助」研究報告1. 1997年度援助① フランス,イタリアにおけるロマネスク壁画招致研究者:フランス国立学術センター(CNRS)第一級研究指導教授報告者:名古屋大学名誉教授,元お茶の水女子大学文教育学部教授期間:1997年10月23日〜10月31日一週間という短い期間の過密なスケジュールの中で,東京日仏会館と名古屋大学(豊田講堂)において,下記の二つの講演が行われた。講演のテキストとスライド・リストが予め送られていたため,講演の通訳(木俣元ー名古屋大学助教授による)に際しての準備や,打ち合わせを適切に行うことができた。主として大学院生や若手研究者を対象とした内容の講演であったため,東京では日仏美術学会の会員以外にも,各大学に掲示をお願いし,約35名ほどの出席者があった。名古屋では,国際交流基金により同時に来日された夫君ピエール・トゥベール教授(イタリア中世史,コレージュ・ド・フランス)と同日に講演が行われたため,関西,九州からの研究者も出席され,資料解釈などをめぐる活発な討議が行われた。講演1「フランスにおけるロマネスク壁画研究の現状」19世紀半ば,文化財監督官としてのプロスペ・メリメにより開始されたロマネスク壁画に関する調査研究,1939年刊行の吉川逸治教授によるサン・サヴァン教会壁画に関する単行本に言及されたのち,まず最初に,ブルーゴーニュ,ラングドック,ピレネー,ポワトゥー,トゥレーヌと,フランスを一巡する形で,とりわけ最近の発見に主眼を置きながらロマネスク壁画の技法的,様式的な特性が簡潔に述べられた。サ辻佐保子-673-エレーヌ・トゥベール(HelさneTOUBERT)
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