(4) 国際会議開催(The 8th Congress of the International Colour Association) ① 第8回国際色彩学会大会(略称AICColor 97 Kyoto) 期間:1997年5月25日〜30日所:国立京都国際会館報告者:東京芸術大学美術学部教授小町谷朝生本国際大会は4年に1度開催される色彩に関わる科学研究,教育研究,芸術研究,デザインその他の社会的・工業生産的応用等,きわめて広範囲な領域の研究成果を発表する世界最高水準の国際色彩会議である。この度の大会がアジアで初めて開催されるものであることに鑑み,上記の従来の大会目的に加え,アジアの若手研究者の経済的支援を一つの目標に掲げ,若手発表者に補助を与えた。これはAIC(国際色彩学会)初めての試行であり,その支援は限られた範囲でしか実行できなかったが反響は大きかった。今大会後の4年間は日本からAIC会長が出されるが,アジアにおける色彩研究の拡大によい影響が与えられる期待が見込める。大会参加国数は29ヶ国であった。会期中参加者は国外の参加者168名を含めて総計627名に達し,参加者数と研究発表件数(ポスター発表を含む)では過去最高であった。今大会の特徴として,学生参加(主として大学院生)が88名と多数を数えたことが挙げられるが,その他として諸外国開催時には前例がなかった美術を主題とする記念講演がもたれたこと,ならびに文化財保存のシンポジウムが初めて設けられたこととその公開シンポジウムに15名を越す一般市民の参加があったことが特記される。口頭研究発表は3会場の同時並行開催で行われたが,案内の英語表示及び諸掲示,ガイドアナウンス等大会全体がきわめて高効率に運営されたため,会場移動もおおむね円滑に行われてとくに海外参加者から高い評価を得た。6名の海外研究者による招待講演は,演題にかかわる現時点での先端的研究成果を展望する内容で,他分野の多数の研究者の知識を高めるに役立つとともに,当該領域の研究者にも神益するものであった。また研究発表は多様かつ高度な研究レベルの内容で,とくに国内参加の若い場-698-
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