2)キリストの真似び5.主題一一多くの事例において同じエピソードが見い出されるとはいえ,主題はそれぞれ異なり,それらを「ヌオーヴァ・ジェルザレンメj,「キリストの真似ぴ」,「ロザリオの十五玄義」,「ヴイア・クルーチスJに分類する試みがなされているが(注13),改めて手短に四分類の定義付けを行ない,それぞれの施設がどの分類に属するかを見てみよう。と偲ばせること,また地形までも模倣して当時のパレスチナに近い形の代用品,すなわち“第二のエルサレム”の提供を目的として建設されたものを指すものとする。従ってこの主題に該当するものは多くはなく,着工当時のヴァラッロのサクロ・モンテ,モンタイオーネのそれの他,若干時代が下るが,グラーリアの未完に終わった壮大な“ノヴェッラ・ジェルザレンメ”計画がここに含まれる。一つであるこのグループには,キリストを筆頭に,聖母マリアや諸聖人,陰修士の生涯を模範とすべき対象として提示し,彼らの生涯を教理教授的,ないしは祈祷的,典ネし的配置に従って展開した全てのサクロ・モンテが該当する。従って,ボッロメオによる改造以降のヴァラッロのサクロ・モンテ,既述のクレアとオルタの施設,洗礼者聖ヨハネの生涯を意図しながら途中で主題の変更(陰修士,悔俊者のエピソード)をみて未完に終わったカンピリア・チェルヴォの施設,アローナの聖カルロに献じられた未完の施設群,オローパの聖母マリアの生涯に献じられたサクロ・モンテ,同じく聖母マリアの生涯を扱ったボルゴセージアのそれが含まれる。また,キリストとマリアの生涯の表現を目的として着手されたマッセラーノの施設群も,このグループに含められよう。3)ロザリオの十五玄義編の朗読の代用として修道院の中で開始され,14世紀にカルトジオ会士によって,各世によって正式に認可された150回のマリア賛辞の反複的祈りと密接に関わっている。一回の祈りは主祷文(パードレ・ノストロ)1回,天使祝詞(アヴェ・マリア)10回,そして栄唱(グローリア)1回で構成され,この祈りを15回繰り返す聞にキリストとマリアの生涯に対する膜想が完了される。15回の各祈りにおいては,キリスト,マリア伝から取られた15場面が膜想されるが,これらの場面は,物語の流れに従って三つ1 )ヌオーヴア・ジェルザレンメ一一この主題は,キリストゆかりの土地を生き生き10回の天使祝詞の前にそれぞれl回の主祷文が挿入された後,1569年に教皇ピウス五トレント公会議後のサクロ・モンテを特徴付けるテーマのこの対抗宗教改草期のいま一つのテーマは,12世紀に詩-91-
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