の定義に分類されている。各定義で膜想される場面は,喜びの玄義一一受胎告知,御訪問,降誕,奉献,神殿でのキリストの発見,苦しみの玄義答刑,茨の冠,ゴルゴダへの道,礁刑,そして栄えの玄義一一復活,昇天,聖霊降臨,被昇天,聖母の戴冠である。ちなみに,京都大学が所蔵する〈ロザリオのマリア(マリア十五玄義図n01世紀前半)や,大阪の高槻地方の東家所蔵の問題図などは,本テーマの日本のキリシタン美術(この場合は絵画)における,ほぼ同時期の展開例であることを付記しておきたい。このロザリオの祈りをテーマに掲げたサクロ・モンテに該当するのは,先に挙げた代表的なヴァレーセのサクロ・モンテとオッスッチョの施設,そしてその約半世紀後に着工されたヴィーコ・フォルテの礼拝堂とビローニ群,並びに当初15堂を予定されながら,わずかに1堂実現されただけで終息してしまったピオッリオのサンチュアリオの計画である。その他,教会堂内に礼拝堂を配して同じテーマを扱った早い例として,「平野のサクロ・モンテ」というべきガッリアーテのサンチュアリオ,また,喜びの奥義だけを内蔵型で表現したピエッラ県のコッジョラの施設が挙げられる。4)ヴイア・クルーチス一一上述のように,17世紀後半から,ヴイア・クルーチス信仰の影響がサクロ・モンテの建設史上にも現れ始め,18世紀以降は,その主題の大半をヴィア・クルーチスが占めるようになる。規模の大小はあれ,サクロ・モンテとして独立した形成をみるか,既に建設されていたサクロ・モンテに付加される形で建設されたことは先に述べた通りである。ヴイア・クルーチスは,判決を受ける,十字架を負う,最初の蹟き,聖母に会う,キレネのシモンに助けられる,ヴエロニカ聖顔を拭う,再び蹟く,エルサレムの女たちを慰める,三度蹟く,衣を剥がされる,十字架へ釘付けされる,十字架上で息絶える,十字架より降ろされる,墓に葬られるの14留から構成されている。このテーマを扱う独立したサクロ・モンテとしては,ドモドッソラの早い例(但し第15堂〈昇天するキリスト〉が付加されている),次いで18世紀のベルモンテのそれ,またやや小規模ながら,モンガルデイーノ,チェルヴェーノ,トッリチェッラ・ヴェルツアーテの例,そして18世紀末のモンタの施設が挙げられる。また,既にあったサクロ・モンテに付加されたヴィア・クルーチスの例としては,モントリゴーネ,グイツファ,そしてごく新しいオローパのサクロ・モンテに付加されたヴィア・クルーチスを指摘できる。なおベルモンテに付加された聖母マリアのヴイア・サクラ(聖なるゲッセマネの祈り,92
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