仕0サン・スヴェール写本の挿絵はステファヌス・ガルシアをはじめとする複数の画て一一」『兵庫女子短期大学総合科学研究所報VERA一一真理と科学一一』創刊号(2) F-12957写本はコルピにおいて,F1614写本はトウールにおいて,それぞれ9世紀に制作されたとされる。一方,s902およびs250写本は,ザンクト・ガレン修道II, Diss. Columbia Univ. 1980. (3) H. G. Gundel, Zodiakos. Tierkreisbilder im Altertum, Mainz 1992, pp. 310-312. (4) L-647写本は9世紀前半に北東フランスにおいて制作されたと推定されているが,(5) D. Gaborit-Chopin,“Les Dessins d’Ad己marde ChabannesぺBulletinArcheologique du (6) フランス国立図書館ms.lat. 11751番に修道院長とこの画家の名前が記されている。(7) M. Vieillard-Troiekouroff,“Art carolingi巴net紅troman pむisiens”,Cahiersarcheolo-(8) サン・スヴェール写本のこの挿絵の円環の左側上方に描かれている生き物は,い(9) この他に,サン・スヴェール写本中のキリスト伝を描いた挿絵「三玉礼拝」(f.12) 関する一考察一一サン・スヴェールのベアトゥス写本の札讃図の位置づけについ1994年111-130頁を参照。院において9世紀に制作されたと推定される。EO’Connor, The Star Mantle of Henri その後たびたびテキストの増補をうけているため,f.2lv.の天球図の制作地および制作年代の決定に困難がともなう。W.Koehler, Die Karolingischen Miniaturen, IV, Berlin, 1971, pp. 77 79, 101 107 Comite des Travaux Historiques et Scientifiques, Nouvelle serie, 3 , 1967, pp.163-225 Y. Deslandres,“Les manuscrits decores au Xie siecle a Saint-Germain-des-Pres par Inge lardぺScriptorium,t. IX, 1955, pp. 3 -16 giques, 16, 1966, pp. 77-105 わゆるCetus(海獣)に起源を有する表現であると推測される。また,この挿絵の構成には,いわゆる風配図の図像伝統が取り入れられている可能性がある。風配図とは,四方に風の擬人像を配し,その内側にゾデイアック像を円環状に配置したものである。および「羊飼いへの御告げ」(f.12v.)と,F-12117写本に収録されている『六つの時代の年代記』中の同場面を描いた挿絵(f.105v. -108)の聞にも類似点が認められることを指摘しておきたい。-241-
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