鹿島美術研究 年報第16号別冊(1999)
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日同U円ノυ】年至文堂,1991年2月中野氏は.「『玄英三蔵絵』に用いられる震は,『春日権現験記絵』に用いられる霞のように,地を淡青色として,輪郭に白線を引き,その先端が弧状をなすか,もしくはほかすのとは違って,淡青色の震を白色の波状曲線によって輪郭とする。それは異固なるがゆえの特別な震であるが,このような霞は,『春日権現験記絵Jでは,巻五第五段・巻九第三段・巻十一第一段の閤魔王庁と地獄の場面のみ現われる。(中略)すなわち,隆兼グループは,遠いインド・西域の異国的風物を表現するため,宮廷絵所の絵師が閤魔王庁を表現する手段として用いた霞や建物の表現法を,そのまま充当したのであった」と述べている。(7) 中野玄三「『玄英三蔵絵』概説」『続日本絵巻大成9玄英三蔵絵下』中央公論社,1982(8) (注7)参照。

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