制「大衆」の民族性については,当時各誌に掲載された座談会記事において議論されているが,とくに『みづゑ』昭和16年1月号誌上の「座談会・園防園家と美術」ではくりかえし強調されている。同「民族jについて,本論では範例をあげるにとどめるが,他分野の研究とのかかわりで別途考察を必要とする。倒本号にはブリューゲルの図版が多数掲載され,画集としての資料的価値があるとの反響があり増刷されたことが,次号の編集後記に記されている。倒ブリューゲルが「民衆の画家」であることを強調するあまり,ブリューゲルが「百姓の子」であると書かれたり,〈バベルの塔〉が「彼はこの「塔jのうちに,ネーデルランド民衆の近代的建設の努力と理想を描かうとしたのかもしれぬjと解説されたりした。倒保坂富士夫「卑俗的な大衆性ではない真の大衆性が得られる」昭和12年『アトリエj9月号誌上座談会「絵画は何処へ行くJ同F.G.パリゼ著,田中英道訳『古典主義美術』228頁岩崎美術社1983年倒須田園太郎「古典家プッサンj昭和17年『董論』9月号。カLouisHourticq, La Jenesse de Poussin, Paris, 1937 565
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