鹿島美術研究 年報第16号別冊(1999)
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第1図大阪湾第13図東福寺第10図宇治川第12図伏見稲荷社鳥居伏見稲荷社東三月十四日寓社前正賞ニ宿スルニ依テ首面図之慶第14図東福寺第16図嵐山13.2×20.6センチ紙本墨画和綴.27紙表紙ほかの年記によって,この写生帖が安政4年春(3月9日から20日前後),大坂と京都において使用されていたことがわかる。表紙に「東京美術学校文庫」の朱印長方印が捺されている。したがって,いずれかの時期に東京美術学校に所蔵されていた可能性が高いが,芸大の記録にはこの資料に関する記載は見当たらない。橋や寺杜などの建造物を多く描いているこの資料を見ると,芳崖が遠近法的な空間把握を行いつつ,対象を正確に写し取っていこうとする写実の態度が窺われ,注目される。以下に整理上の番号をつけ,主な書き込みを記してその内容を紹介する。第2図住吉神社第4図岩清水八幡宮山崎山川上淀賓寺落陽西川下平カタ大坂八幡山八第5図骨合第6図釣り人船引き第15図上賀茂神社第3図淀川水車第7図宇治橋,高福寺下ヨリ移ル川上手前廟堂院山シナ大柴山蔦福寺叡山大津第8図宇治川第9図蔦福寺写生対象表紙第11図高福寺安政四季丁巳歳雑画真景寓於伏見作之春三月翠庵三月九日図寓安政丁巳春紀州佐海住吉天保山天王寺三月十一日園寝兵庫落陽西阿波阿波路嶋紀治|住吉宮佐i毎川下山崎八幡此辺遠山川上伏見東鳥羽桂川加茂川京往来船三月十二日寝幡宮三月十二日寓三月十二日潟京三月十三日川上十三日潟上江次黄柴山高福寺十三日窮十三日霧黄葉山寓福寺伏見ヨリ宇治江五十丁叡山遠シ川下十三日潟重門人寓手ナラン恵、日山東福寺通天橋三月十七日篤本堂通天橋閉山堂恵、日山東福寺十七日霧川合社賀茂川東御手洗水叡山北方ニアリ本社貴船川水上ミ上鴨ヨリ北東山京三月廿日寓之主な書き込み-583

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