鹿島美術研究 年報第16号別冊(1999)
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初年度に計画された上記画像データベースの完成を期すこととした。本研究は,学術研究そのものにおける各種画像データベースの汎用的利用価値という面においてはもちろんのこと,囲内各地の大型博物館・美術館施設ですでに本格導入が実施ないし検討されつつあるマルチメディア・システムのパイロット運用という面においても,また画像データベースを構築するさいの入力系・集積系システムの技術開発という面においても,さらには広汎な社会層を対象とする多世代適用型マルチメディア・コンテンツ作成の研究という面においても,少なからぬ意義を有するものと信じる。2.内容本研究は,東京大学の総合研究博物館をはじめ,大学院人文社会系研究科美術史学専門分野研究室,東洋文化研究所,大学院工学系研究科建築学専攻などの諸部局の美術史・建築史関係教官を結集した共同研究として,平成7年4月より3年間にわたって計画されたもので,昨年1年の途中休止を挟んで,本年はその最終年度に該当する。平成9年,大学院人文社会系研究科内に,本研究の共同研究者の一人である青柳正規教授の主導の下,広汎な社会教育に資する「マルチメディア百科辞典jの研究開発を目的とした「多世代適用型マルチメディア・コンテンツ作成委員会」が設けられ,同委員会との連携のもとに「ボンベイ遺跡画像データベース」「古代シチリア文明遺跡画像データベース」「古代文明関連写真データベースjの三つの基礎的データベース(「マルチメディア百科辞典Jの一部をなすデジタル画像の資料体で,これはすでにインターネットのWWWブラウザから閲覧できる形式に整えられている)を立ち上げつつある。本年度は,これらのデータベース運用のための情報環境整備の推進とポンベイ文化財監督局の管理下にあるポンベイ遺跡の画像情報化を行うことが計画されており,この後者の目的のためイタリアで学術調査を行う。また,これと並行して,すでに画像デジタル化の済んでいる資料体(「東京大学建築図面データベース」)を用いて,静止画像と動画像を連動させた近未来型デジタル・アーカイヴの試行実験と,そのデモ版の完成を期す。なお,本研究の中で作成された画像データベースは最終的にWWWブラウザを介して国内外の利用要請に応えられる状態にしたいと考える。734

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