鹿島美術研究 年報第16号別冊(1999)
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(24) 文献によっても,油紙を使用して図像をトレースしたことが記しである.例えば,包3j賓田隆教授の御教示による。とが出来た。直武が使用したのは,1660年か1669年版であるが,この二版は同版でプレイトの番号まで同じであるため,どちらの版を直武が使用したのか判定しがたい。本論の考察に際し杉田玄白が使用したほとんどの原本を閲覧することが出来た。ヴァルヴェルデの解剖書は,アントワープのクリストファ・プランテイン社から1566年に出版した同版を使用して,1969年に出版したファクシミリ版である。クルムスのfターヘル・アナトミア』は1734年にアムステルダムのジャンソニオ・ワスパージオ(JanssonioWaesbergios)から出版されたオランダ語版で,本のサイズは21.4cm (縦)×12.5cm (横)×2.4cm(厚み)という小型本である。『解体新書』そのものは1774年に出版された原本を使用した。またピドローとカウパーの解剖書も1685年と1698年に出版された原本を使用した。醍醐寺蔵の「比叡本両界蔓茶羅図像」の奥書に油紙を使用して図像をトレースしたことが記されている.中野玄三『学叢j2号(昭和55年3月)124-125頁.-65-

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