鹿島美術研究 年報第17号別冊(2000)
254/763

(9)『異本安堵村八景』紙本墨画巻子装l巻全8図風景模様8図個人蔵奥書「千九百二十四年初夏東京にて遠き静なる安堵村を思ひ浮べて此の図を造る富本憲吉(印)」『安堵村八景jの異本。富本は大正13年(1924)5月に小石川の野島邸で「新作陶器展」を聞き6月18日に安堵に帰っているので,その聞の東京での作であろう。大原美術館本のような解説文は無く,「砂JiJ,「重層小屋j,「老樹J(『安堵村八景』では「高塚」,以下()内は同),「陶窯J(「陶器焼成J),「急雨J,「曲る道J(「ふるき地蔵堂」),「河心j,「E後の家」の8景を描く。いずれも風景のみで陶磁器の模様としては描いていない。大原本の「竹薮に圃まる、三ツの倉」と「藁棒塔jに代わって「急雨」と「丘後の家jが新たに入っている。同『染附十八帖』紙本墨画冊子装l冊全18図風景模様l図個人蔵奥書「千九百弐拾参年六月梅雨くらき日大和安堵村にて富本憲吉(印)J「自製砂丘模様盆J(付表「砂JiJB)が唯一の富本自身の風景模様であるが,前出『安堵村八景Jの「砂JiJ(付表「砂E」A)とは違って「桃樹ーを残すのみなるも,かへってかなし」という丘上の桃樹は無く,正面に棒積藁2個を描く。「李朝山水盆」は李朝期既製品の模写。(11)『自作陶器拾弐図J紙本墨画折本装l冊全12図風景模様4図『富本憲吉全集jに収録個人蔵奥書「大正拾弐年秋富本憲吉(印)」風景模様は「飾査大和J11急雨」,「角形蓋物柳」,「皿塀」(『京城所見図巻』の「南大門遠望」),「水滴李朝風景Jの4図を収録。同『新作陶器拾弐図』紙本墨画巻子装1巻全12図風景模様4図個人蔵奥書「千九百弐拾四年初夏大和国安堵村にて富本憲吉(印)J風景模様は,「陶板老樹j,「皿小屋J(『富本憲吉模様集』第2冊73I藁屋根の家」の遠景),「角皿砂丘」,「壷大和川急雨」の4図を収録。この中の大和川急雨模様査は,査の形は異なるが前出『自作陶器拾弐図』にも収録されている。同『道五題巻』紙本墨画巻子装l巻全6図風景模様5図『富本憲吉全集』に収録個人蔵奥書「道五題千九百弐拾五年春富本憲吉(印)大和園安堵村」小屋と道,小堂と径,寂しき辻道(付表「寂しき辻道」A),砂正と道,堆肥舎と道243

元のページ  ../index.html#254

このブックを見る