注(1)①安村敏信「江戸狩野派の変貌」展覧会図録『江戸狩野派の変貌』板橋区立美(2) 武田恒夫『狩野派絵画史J古川弘文館,1995年(3)① 添田達嶺「女雪信の話一附探幽,守景,昨幽斎他−」『塔影J第12巻第3号(4) 前掲注(1)参照。(5) 敦賀市立博物館特別展「近世における大和絵の展開土佐光起・狩野探幽を中心(6)板橋区立美術館特別展「江戸の閏秀画家」1991年開催(7) パトリシア・フイスター『近世の女性画家たち一美術とジェンダー−j思文閤出は,その需要者層との問題が大きいと思われる。雪信作品を注文する上層階級の調度類には伝統的な画題による人物像の制作と同時に,江戸狩野派の景物画に見られる軽妙で平明な新しい画趣の両立が求められた。雪信が江戸の狩野派を離れて仕事をしていても,町絵師のように古典作品の見立てなど風俗画への志向は見られない。また,画中人物の内面を鋭くとらえようとする志向とも明らかに異なる。雪信両に求められた人物像はその内面の個性を伝える絵ではなく,古典的教養を四季景物の中に視覚化した姿であった。雪信の作品は江戸時代後期の絵手本類にも掲載されるなど,その画風が粉本として継承された形跡が見られる(注21)。今後は同時代の土佐派・住吉派,雪信以降の狩野派画家との比較から,雪信画風の形成と継承をさらに詳しく解明したい。術館,1990年② 安村敏信「江戸狩野派の保守と革新J展覧会図録『江戸狩野派の変貌PART塔影杜,1936年② 「瀧見観音図」挿董及び解説『国華』第63号,1899年③ 「王昭君図」挿図及び解説『国華J第597号,1940年④ 「清少納言鶏図」挿図及び解説『国華』第605号,1941年⑤楢崎宗重「清原雪信女房世六歌仙図j『国華』第712号,1951年①楢崎宗重「雪信筆楊貴妃図」『国華』第829号,1961年としてJ 1994年開催版,1994年,12頁2 j板橋区立美術館,1995年274
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