担寺々に古画ともあるか定て見てあらふ。大徳寺の方丈は探幽か山水殊に見事な事じゃ。うらの座敷に花鳥人形さま体をかへて書て，外には類いもない事じゃ。亦琉球国には何と在か。絵かーよいか。呉師度と申者孫億弟子に市出し者に而御座候由申上候処，成程関白の方へある見た。孫億か様に見ゆる。朝鮮国は絵も字も琉球ほとない。琉球は学丈もとかく能風雅な国じゃ。段々学者も出来たであろふ。（中略）先比は求馬に絵本をかして則見せた。先年関東に下った時城て馳走に見物した絵本を見て思ひだした。探幽か絵の至極ていねい成物て，あの絵本は珍重な物じゃ。求馬被申上候は，此節探元滞在無間も罷成候而殊更残多存申候由被申上候得は，御笑被遊。扱右之学古図を常信にか、せたに六拾枚計は有か。御入候。（中略）夫より段々絵之御日出有之御答申上，此御方様雪舟筆達摩之絵之儀被聞召及候由御誌に而候。何かと久敷御詑有之候而雪舟之芦雁ー幅拝見仕候時，従求馬被申上候は，此芦之書様なとは扱々気ま冶の筆勢に候へ共，能芦に似す被申上候処御読候に，探元か聞にこふ言ひにくけれと，今の絵は絵て絵を書く。古人は生て絵をかいた。誠に以奉感候。委段々御H出有之候。追付御座罷下り候而，御使者之問上之聞に而御料理被下候。（後略）452 （下線報告者）
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