注(3) この建設事業はラテラーノ宮からヴァティカンに教皇の公式宮殿を移す計画を彼このように,カペラ・ニッコリーナのデザイン・プログラムを読み解く際には従来のようにそのフレスコ・サイクルのみをその対象としていては不十分で、あり,床面に刻まれた教皇ニコラウス五世のエンプレムもまた「教皇権の絶対性」という強力なメッセージを表明していることが明らかにされた。カペラ・ニッコリーナは,キリストの代理としての教皇の権威を刻んだ白大理石の床から立つ壁に「組織としての教会jを表現するフラ・アンジェリコのプレスコを配することによって,「この岩(ペテロ)の上に教会を建てようJと言ったキリストの言葉を建築と絵画によって再び宣言しているのである。カベラ・ニッコリーナ以降,この燃える太陽のエンプレムはアルベルティーによるサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂のファサードや,ウルビーノのパラッツォ・ドゥカーレにある図書室の天井などに用いられ,オクルス窓、もアルベルティー設計のサン・タンドレア聖堂や,同じくウルビーノのパラッツォ・ドゥカーレ内のカベラ・デル・ペルドノ等に特有な手法で使われていくが,それはまた別の機会に書くことになる。の前任者シクストゥス四世から引き継いだものである。Cf.C. W. WESTFALL, In this Most Perfect Paradise. Alberti, Nicholas V, and the Invention of Conscious Urban Planning in Rome, 1447 1455, Univ巴rsityPark, Penn. 1974, p. 4 and p.130 ff. カベラ・ニッコリーナについての主な研究に関してはcf.B. BIAGETTI,“Una nuova ipotesi intorno allo Studio e alla Cappella di Niccolo V n巴lPalazzo Vaticano,” Atti della PontがcaAccademia Romana di Archeologia. Memorie, ill, 3 (1932/ 1933), p. 205 ff. ; C. COCHIN,“Not巴5sur l’histoire de la Chapelle de Nicholas V au Vatican,”Notes d’'Art et d’'Archeologie publi白spar la Societe de Saint Jean, Paris, 1912 ; Creighton GILBERT,“Fra Angelico’S Fresco Cycles in Rome : their (1) the Incarnation (2) the Immaculate Conception 600
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