(主に日本の考古学と絵画に関する)の大切な印象を与えたと考える。この国際考古シンポジウムの研究発表は,文化交流研究施設の年報特別号(東京大学文学部;発行者青柳正規)に収録され,西暦2000年に刊行される予定である。挿図入りのテキストは,原文(英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語)に加え,日本のさらに多くの読者の関心をも考慮の上,日本語訳のレジュメを添えて印刷される。シンポジウム終了後の協議で,全てのヘレニズム絵画のカタログ化に着手し,これを後に,数多くの図版を加えた集大成的専門書として刊行することが決議された。考古学研究上,長年の課題であるこの企画は,青柳正規及びs.シュタイングレーパ一両者によって主宰され,様々な国籍の研究者(このシンポジウムの参加者など)が参加協力する予定である。シンポジウム招致者の何人かは,西暦2000年11月/12月に,東京大学総合研究博物館で計画されている地中海圏の様々な地域の王侯貴族の墳墓,葬祭絵画及び葬祭慣習についての展覧会(責任者s.シュタイングレーパー)の為,記録資料を提供,協力する意向である。この展覧会には,日英2カ国語による,豊富な挿図入りのカタログの準備が肝要であるが,そこには数多くのヘレニズ、ム葬祭絵画も収録される予定である。最後に深い感謝をもって強調したいのは,鹿島美術財団の寛大な援助によって実現した当シンポジウムは,このように,各方面に多大な学術的刺激を与え,豊かな成果を生みだしたことであり,また欧州、比日本の専門研究者達を集結させ,重要なテーマ“ヘレニズム絵画”を日本においても贋く公表し,国際協力のもと,この主題についての幾つかの専門書の出版準備及び研究企画を起動させるという,貴重な貢献をした点である。723
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