鹿島美術研究 年報第17号別冊(2000)
740/763

調査途中で知った在伊コレクションは,lローマ,エウルルイジピゴリーニ民族博物館2 ローマ,ヴェネツィア富美術館3 フイレンツェ,ピッテイ宮在各コレクション銀工芸館及び近代美術館内の中国の間4 トリエステ市立諸美術館武具館及び工芸収蔵館などである。特に,1' 2' 3は注目に値する興味あるコレクションであると考えられる。各内容については後述する。[皿]新情報入手と実地調査について調査進行中に未知のコレクションについて,少なくない新情報を入手できたのは,当調査を実施している事実が各方面へ伝わった結果である。関係方面から好意的に連絡を頂いた。これは予想外の収穫であったと言える。実地調査において,所蔵品の実見が許可されるのは,少数の希望点数に限られるのが通常であるが,当調査の多くの訪問先では,非公開所蔵品,収蔵庫などでの実地調査など,比較的寛容に受け入れられた。これは,イタリア国内各訪問先へローマ在日本大使館文化担当官渡辺博氏より,ヴァチカン市国訪問先へ在ヴァチカン日本大使館菊池参事官より,該当訪問先責任者,担当者宛に紹介状を送付して頂いたお蔭である。また,同時に各美術館担当者の方々が上部より許可を貰うためにご苦労下さり,調査現場でも大変協力的であったお蔭である。[町]写真資料について正式な紹介状([皿]参照)伴って訪問したが,写真資料入手は常に,非常に難問であった。各美術館は,写真資料について神経を尖らせている。!理由は,当地では収蔵品目録や写真資料などの整理,作成が未だ完了していない美術館が少なくない,写真資料提供の規定などが一定でないなどに加えて,調査側である当方の調査範囲が広く,必要な写真資料数が通常の調査研究のそれより大幅に上回ったことが挙げられるであろう。勿論,写真資料が必要であるのは,美術館側もよく知っているので,各担当者はこの矛盾の狭間で当調査に便宜を提供するために,各所各様に工夫して,何らかの解決方法を探ってくれた。例えば,ピゴリーニ国立民族博物館は,国立文化財監督局担当部長によって撮影厳禁されたが,担当者の仲介で選択所蔵品のカラーコピーを提供して貰うという解決策を得た。同博では収蔵品目録に写真資料がほぼ完備して添付さ-727-

元のページ  ../index.html#740

このブックを見る