鹿島美術研究 年報第17号別冊(2000)
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(Pier. Alessandro. Garda)によるコレクション。総数約800点。美術館創立明治9年部分大きく著しい。後補の金具が付けられている。制作年代は17〜18C頃か。観音聞き前扉の内部には左右対称に大きさの異なる八引き出しがある。底面と引出し内部以外は蒔絵で装飾されている。外側は黒漆塗りに金銀高蒔絵,付描きなどで様式化した中国風山水意匠で、あるのに対し,内の引出戸は,山水意匠の繰り返しと絵梨地を交えた高台寺風の草花が左右に組み合わされる。異なる様式の意匠を組み合せたのは,意図してヴァラエティーを加えるためだろうか?輸出用として制作されたためであろう。全体に劣化が進み,特に天板は著しい。後補の上塗りなど修理が加えられている。4.イブレア市立美術館ガルダコレクション:ビエールアレッサンドロガルダ(1896年)で,ガルダには来日歴がないなどから,所蔵品はヨーロッパで収集されたと考えられる。所蔵品の一部に,創立時の美術館となった旧伯爵邸内に所蔵されていた,ガルダに遡るコレクション(ペローネ)も邸と一緒にガルダに買い取られて加えられているがそれ以外の後代の購入品,寄贈品など別途の収蔵品はない。すべてガルダの手を経て収集されている,所蔵品の下限が定まっているコレクションでもある。所蔵品の制作年代は幕末から明治初めが大半を占める。考古品を除き,絵画,武具,工芸とほぼ全分野にわたるコレクションである。ミラノ市立スフォルツァ城コレクションと共通点も見られるが,所蔵品の制作年代が総体的に見て,ミラノは明治以後中心なのに比べて,ガルダコレクションの収蔵品はミラノの制作年代より6070年くらい遡ると考える。みl.3cm,枠税ftlOl.lcm横102.4cm厚み26.8cm制作年代1820〜30年頃か枠の桟は衝立の幅の倍あり,この桟に二面の衝立が重なって収まるように作られている。二面の衝立は,ひとつの枠に収納される。二面の衝立表裏両面に異なる図が描かる。それぞれ「祇園祭り図」と「雛を伴い菊叢の横で啄ばむ雌雄鶏図」が描かれ,二面の各国が繋がってそれぞれー図となる。枠に収まれば二面の衝立の各片面のみ見せて通常の衝立になり,枠から二面を取り出してつなげると各図② 山水蒔絵箪笥:収蔵品番号3260幅70.2×奥行42.8×高さ56.5cm ① 薄貝螺銅衝立:収蔵番号384.01, 384. 02.同枠385.00縦84.5cm横94.8cm 厚-735-

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