鹿島美術研究 年報第17号別冊(2000)
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〜1400点。大半は明治,大正,昭和期の制作品が中心であるが,江戸期の優品も含9.ヴァチカン伝道民族博物館:ローマ法王への献上品やミッション会の収集品など幅28.2×奥行22×高さ15.3cm飛鳥立花文蒔絵ソーイングボックス:収蔵番号121,寸法幅29.3×奥行23.5×高さ14.5cm長崎螺銅テーブル:収蔵番号127,寸法直径57×高さ76.6cmなどの他,浮世絵版画で「日本の蚕産業図」シリーズなど。がコレクションされているがそれ以外の経路をへている作品もあると考えられ,詳細についてはわからない。作品は現時点では閉館されている展示室に収納されているので大半を実見できるが,掛け軸,扉風,版画類などは,聞かれた状態で置かれていない。現在は展示場所の所蔵品グループ写真が完備,個々の作品と収蔵目録作成計画中であるので,調査の前半では,グループ写真参照の上,展示室でガラス越しに実見し,後半の調査で軸物や扉風類など聞いてもらって実見した。総数約1300まれている。作品例を挙げる。① 竹内栖鳳作「秋林農事j六曲扉風一双:収蔵番号204,205 寸法:64×17lcm〔枠込〕,62×166.5cm (本図)絹本朱漆塗枠昭和五年,大蔵喜八郎などにより開催された「羅馬日本美術展覧会」出品作品のうちの一点。同図録(下)に掲載されている。長年の間,行方知れずであった作品であるが昨年,「殉教二十六聖人」の修復のため日本より派遣された岡塁光堂グループによって発見された。左隻は前景に刈り入れ後の稲が積まれている水のヲ|かれた畑,中景に農家,遠景に農民の姿が小さく幽かに描かれている。右隻は前景に小川,中景に木々の聞に農家の屋根が見える岸などが微妙な墨の濃淡で描かれ,背景に引かれた金紛が繊細で優美な美しさを醸し出している。新聞などにも大きく取り上げられているので,詳細は省略する。枠の一部が剥落しているほかは図全体の保存状態は良い。②松岡映丘作「女性坐像」一軸:収蔵番号155,寸法307×115cm, 84. 7×173.5 cm (図)絹本,昭和2年春,奉献日本帝国聖心製マグリット会と記入あり。「羅馬日本美術展覧会」出品作品ではないが,同展出品作家の作品である。前,中景に地色は緑青に小花模様の振袖を着て,長い黒髪を後ろに束ね,きりりとした面立ちの女性が岩か石の上に腰掛けている。背景には松原と浜辺が爽やかに女性の着物と同系色で描かれている大変美しい一幅。保存状態良好。③ 十三悌図:掛軸各一幅。細線,色彩,切金など装飾的で各幅共に非常に華やか一739-

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