1669頃。調査した三幅について簡単に記す。で美しい。表装も上質で、巻軸,金具類は鍍金唐草魚子文。十三幅の内,十幅は長年,天井近くに掛けられて展示されているため,劣化が著しく取り外せなかった。展示されていない三幅は,一部に折れやしみがあるのみで図には絵の具の剥落などなく,切金装飾文や色彩が鮮やかに残り保存状態は良好。制作年代は,1667〜青不動坐像:収蔵番号AS7638,普賢菩薩坐像:収蔵番号AS7638E,釈迦如来坐像:収蔵番号AS7638M,寸法はほぼ同寸である。約152×78.5cm (各本図)表装込約101×222cm,各軸裏面の記入;当寺天徳院住左学頭権大僧都果恵為二世安楽各幅十三悌絵作但し,年代は各福により多少の相違があるようで,例えば,青不動;寛文七丁未年三月吉祥日,普賢菩薩;寛文九己酉三月吉日など尚,展示中の「釈迦如来図ー幅」図中の記入から,1925年大阪商工会議所の寄贈とわかる。全体的に所蔵品は明治期の工芸品が多い。漆工芸品は,金地や梨地などの手箱,重箱類など。明治大正昭和期の七宝の優品。雛人形,祇園祭山鉾に収まる人形などに優品が見られた。尚,上述の十三悌図展示品十点,漆工芸品,人形などの優品は,保存のための清掃や修復が早い機会に望まれる。10. トリノ国立王宮美術館:旧宮廷をそのまま美術館にした典型的な例である。壁や床に伊万里を中心にした陶磁器がイタリア家具や美術工芸品と一緒に装飾として組み入れられている。ここでは,東洋漆芸品には見当たらないが,宮内の一室の壁面が“ジャパンニング”(日本漆製家具などを摸倣した西洋製イミテーション)で飾られている。トリノ地方の特色であるロココ調を取り入れた様式で,近年,修復が済み,一般公開されている。11.カポデイモンテ富国立美術館(ナポリ):前述のトリノ国立王宮美術館と同様に旧宮廷をそのまま美術館にした典型的な例である。ジャパンニング摸倣漆製の時計,椅子などの家具類で内装された一室がある。之740-
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